2007年 08月 29日
猫からエキノコックス症 |
はじめに「今日は文章ばっかだよ!」とお断りしておく。
まず、こんな記事をお読みいただきたい…
>北海道のキツネやネズミに寄生し、人に感染すると重い肝機能障害を起こす寄生虫エキノコックスの卵を、北海道大などの研究チームが、道内のペットのネコのふんから国内で初めて発見した(8月29日/読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070829-00000001-yom-soci
次に、猫の飼い主が、エキノコックスについて最低限知っておくべき事を書く…
1.寄生虫の感染には、虫卵→幼虫(中間宿主内)→成虫(終宿主内)の段階がある。
2.虫卵は感染した終宿主である肉食獣(犬、猫、キツネ等)の便とともに土壌や水、植物等を汚染する。
3.虫卵は埃、食物や飲水などとともに中間宿主(人間、ネズミなど)に経口的に入ると、小腸で孵化し、肝臓や肺などに移行し、多包虫(幼虫)に発育する。
4.多包虫に感染した動物(北海道では、主として野ネズミ類)を肉食獣が捕まえて食べると感染し、寄生虫は肉食獣の小腸内で成虫となり、虫卵を作る。
5.虫卵は、2.のルートで新たな汚染源となる
資料・ペットの飼い主の皆様へ/北大・寄生虫学教室
以上、事が事だけに軽々な発言は控えるが、要点は以下の通り…
・エキノコックス症は、終宿主である肉食獣(犬、猫、キツネ等)の糞便とともに土壌や水、植物等を汚染し、中間宿主(人やネズミ)に感染する。
★ネズミに感染した場合:
→終宿主である肉食獣(犬、猫、キツネ等)に補食された場合、その体内で成虫となり、虫卵を排出する(汚染源となる)
★ヒトに感染した場合:
→成人では通常10年以上を要するものの、肝機能障害など重篤な症状を呈し、死に至る事もある。現在のところ、多包虫の摘出(外科手術)が唯一の治療方法であるが、健康な細胞にも浸潤している場合があり、転移・再発の可能性がある。
・北大、野中成晃講師(獣医寄生虫学)らが、道内で飼育されているペットのネコ約600匹を調べた結果、1匹の糞便からエキノコックスの卵が見つかった。
・エキノコックスの成虫は犬や猫の小腸粘膜に吸着して寄生し、下痢などの消化器症状は通常示しないが、虫卵を排泄している場合は人間への感染源となりうる
・エキノコックスに感染している猫は、プラジクアンテルなどでの駆虫が可能(猫そのものを殺す必要は無い)
・エキノコックス症は北海道だけでなく、報告されているものだけでも本州、九州、沖縄から合計すると70例以上の症例があり、特に青森では22例知られている。本州の症例の中には来道経験のないヒトも含まれているので、感染経路は全く不明ながら、すでに多包条虫が本州で定着している可能性も否定できない。
--
以上の資料より、エキノコックス症が、人間にとって重篤な症状を引き起こす寄生虫であることは明らかで、猫がその感染源となり得る。幸い、猫は正しく駆虫する事により、猫そのものを駆除する必要は無いので、これを防止するために下記提案を考えていきたい…
・猫の飼育を登録制とし、年に一回以上の寄生虫検査/駆虫を義務づける
・猫の遺棄/遺失(新たに生まれた子猫も含む)について罰則を強化する。具体的には、これまでの動物愛護法下の定めの他に法令(仮:エキノコックス予防法)を設け、飼育者の責任を明確にする
・ブリーディングを免許制(当面は登録制)とし、一般家庭における愛玩的飼育には避妊去勢を義務づける
・現状の野良猫は、可能な限り行政で保護し、必要な衛生的処置(避妊/去勢・駆虫、ワクチンなど)を行った後、里親探しを行う。地域猫については、その管理者を認定し避妊去勢に対する補助を行う。
まとめ:現状では、猫は放し飼いが原則であるので、犬よりもエキノコックスの汚染源となる可能性が高く、犬の登録制の根拠となる狂犬病は、国内では殆どその発祥例を見ないが、エキノコックスでは毎年数名が亡くなっている。
厚生労働大臣>犬と猫、事の重要性として、どちらが高いか考えていただきたい。
--
参考:北海道の、エキノコックスの起原
北海道への多包条虫の侵入は、多包条虫高度流行地のセントローレンス島(ベーリング海峡付近)
から感染野ネズミが、毛皮飼育用のキツネの餌として1870年にベーリング島に移植され、
1916-17年にこの島から感染キツネがシムシル島(千島列島)に移され、
さらに1924-26年に感染キツネが礼文島へ移されたと考えられ、
すなわち「セントローレンス島以降はすべて人為的になされた」とのる説が有力であり、
現在では、ほぼ北海道全域に分布し、本州の一部にも生息域が存在するのではとの懸念もある。
資料サイト:北大・寄生虫学教室
雑談:そもそも、猫が地域社会で嫌われる原因が何処にあるか考えてみよう。
鳴き声、糞便、尿(=発情期のマーキング)など、これらの殆どは「放し飼い」と「乱れた交配」にあると考える。そもそも「愛玩動物の放し飼い自体が、非衛生的、非文化的であること」を認識して欲しい。
エキノコックスが現実の脅威となった今を、猫の完全室内飼いと家猫の完全避妊去勢について、大きく前進するチャンスであると、僕はむしろ歓迎している。
まず、こんな記事をお読みいただきたい…
>北海道のキツネやネズミに寄生し、人に感染すると重い肝機能障害を起こす寄生虫エキノコックスの卵を、北海道大などの研究チームが、道内のペットのネコのふんから国内で初めて発見した(8月29日/読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070829-00000001-yom-soci
次に、猫の飼い主が、エキノコックスについて最低限知っておくべき事を書く…
1.寄生虫の感染には、虫卵→幼虫(中間宿主内)→成虫(終宿主内)の段階がある。
2.虫卵は感染した終宿主である肉食獣(犬、猫、キツネ等)の便とともに土壌や水、植物等を汚染する。
3.虫卵は埃、食物や飲水などとともに中間宿主(人間、ネズミなど)に経口的に入ると、小腸で孵化し、肝臓や肺などに移行し、多包虫(幼虫)に発育する。
4.多包虫に感染した動物(北海道では、主として野ネズミ類)を肉食獣が捕まえて食べると感染し、寄生虫は肉食獣の小腸内で成虫となり、虫卵を作る。
5.虫卵は、2.のルートで新たな汚染源となる
資料・ペットの飼い主の皆様へ/北大・寄生虫学教室
以上、事が事だけに軽々な発言は控えるが、要点は以下の通り…
・エキノコックス症は、終宿主である肉食獣(犬、猫、キツネ等)の糞便とともに土壌や水、植物等を汚染し、中間宿主(人やネズミ)に感染する。
★ネズミに感染した場合:
→終宿主である肉食獣(犬、猫、キツネ等)に補食された場合、その体内で成虫となり、虫卵を排出する(汚染源となる)
★ヒトに感染した場合:
→成人では通常10年以上を要するものの、肝機能障害など重篤な症状を呈し、死に至る事もある。現在のところ、多包虫の摘出(外科手術)が唯一の治療方法であるが、健康な細胞にも浸潤している場合があり、転移・再発の可能性がある。
・北大、野中成晃講師(獣医寄生虫学)らが、道内で飼育されているペットのネコ約600匹を調べた結果、1匹の糞便からエキノコックスの卵が見つかった。
・エキノコックスの成虫は犬や猫の小腸粘膜に吸着して寄生し、下痢などの消化器症状は通常示しないが、虫卵を排泄している場合は人間への感染源となりうる
・エキノコックスに感染している猫は、プラジクアンテルなどでの駆虫が可能(猫そのものを殺す必要は無い)
・エキノコックス症は北海道だけでなく、報告されているものだけでも本州、九州、沖縄から合計すると70例以上の症例があり、特に青森では22例知られている。本州の症例の中には来道経験のないヒトも含まれているので、感染経路は全く不明ながら、すでに多包条虫が本州で定着している可能性も否定できない。
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以上の資料より、エキノコックス症が、人間にとって重篤な症状を引き起こす寄生虫であることは明らかで、猫がその感染源となり得る。幸い、猫は正しく駆虫する事により、猫そのものを駆除する必要は無いので、これを防止するために下記提案を考えていきたい…
・猫の飼育を登録制とし、年に一回以上の寄生虫検査/駆虫を義務づける
・猫の遺棄/遺失(新たに生まれた子猫も含む)について罰則を強化する。具体的には、これまでの動物愛護法下の定めの他に法令(仮:エキノコックス予防法)を設け、飼育者の責任を明確にする
・ブリーディングを免許制(当面は登録制)とし、一般家庭における愛玩的飼育には避妊去勢を義務づける
・現状の野良猫は、可能な限り行政で保護し、必要な衛生的処置(避妊/去勢・駆虫、ワクチンなど)を行った後、里親探しを行う。地域猫については、その管理者を認定し避妊去勢に対する補助を行う。
まとめ:現状では、猫は放し飼いが原則であるので、犬よりもエキノコックスの汚染源となる可能性が高く、犬の登録制の根拠となる狂犬病は、国内では殆どその発祥例を見ないが、エキノコックスでは毎年数名が亡くなっている。
厚生労働大臣>犬と猫、事の重要性として、どちらが高いか考えていただきたい。
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参考:北海道の、エキノコックスの起原
北海道への多包条虫の侵入は、多包条虫高度流行地のセントローレンス島(ベーリング海峡付近)
から感染野ネズミが、毛皮飼育用のキツネの餌として1870年にベーリング島に移植され、
1916-17年にこの島から感染キツネがシムシル島(千島列島)に移され、
さらに1924-26年に感染キツネが礼文島へ移されたと考えられ、
すなわち「セントローレンス島以降はすべて人為的になされた」とのる説が有力であり、
現在では、ほぼ北海道全域に分布し、本州の一部にも生息域が存在するのではとの懸念もある。
資料サイト:北大・寄生虫学教室
雑談:そもそも、猫が地域社会で嫌われる原因が何処にあるか考えてみよう。
鳴き声、糞便、尿(=発情期のマーキング)など、これらの殆どは「放し飼い」と「乱れた交配」にあると考える。そもそも「愛玩動物の放し飼い自体が、非衛生的、非文化的であること」を認識して欲しい。
エキノコックスが現実の脅威となった今を、猫の完全室内飼いと家猫の完全避妊去勢について、大きく前進するチャンスであると、僕はむしろ歓迎している。
by mikealpha
| 2007-08-29 14:24
| 猫